精密板金加工の豆知識

レーザー加工機

最近市場に出てきたファイバーレーザー加工機は高速、低ランニングコスト、アルミも得意とすばらしいですが、まだまだこれまでのCO2レーザー加工機と一長一短あるかと。

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レーザー加工機はレーザーの光線で一筆書きのように板に切れ込みを入れていく加工方法なのでタレパンのように金型を使用しません。

金型交換が必要ないので段取り時間を短くすることができます。

しかしながらレーザー加工機はレーザー発振器に使用するレーザーガスや板を切るときに必要となる酸素や窒素などのアシストガス、そして発振機、チラー、コンプレッサー等の電気代等のランニングコストが高いといったデメリットがあります。

極小ロットで納期優先、単価は厳しくないといった条件では威力を発揮します。

当社ではアルミの精密板金加工が得意ですが、レーザー加工機は一般的にアルミの加工が苦手です。
これはアルミニウムはレーザーの光を反射しやすく、反射光がレーザー発振器に戻ってしまい、レーザー加工機を破損してしまうため、アルミのレーザー加工を嫌がる精密板金加工屋さんも多いです。
しかしこれも工夫次第で可能になるのでこれは板金屋の腕の見せ所といったところでしょうか。
また、レーザー加工機ではタレパンで可能な成型加工(バーリングや起こしといわれているもの)ができないのは悩ましいところです。

 

レーザー加工機のランニングコスト

まだまだタレパンと比較して高いです。

試しにレーザー加工機のランニングコストがどのぐらいになるのか見てみましょう。

≪前提条件≫

  • 電気代20円/kw・h
  • レーザーガス単価約10円/L
  • CO2レーザーを使用
  • 平均稼働率50%

※消費電力は発振器、チラーも含みます。

鋼板t=1.0mmの場合

酸素切断
レーザー出力約2kW

※概算
電気代 450円/hr
レーザーガス代 10円/hr
加工ガス代 150円/hr
合計 610円/hr

 

ステンレスt=1.0mmの場合

窒素切断
レーザー出力約2.5kW

※概算
電気代 540円/hr
レーザーガス代 10円/hr
加工ガス代 2300円/hr
合計 2850円/hr

 

アルミt=1.0mmの場合

窒素切断
レーザー出力約2.5kW

※概算
電気代 540円/hr
レーザーガス代 10円/hr
加工ガス代 2300円/hr
合計 2850円/hr

ステンレスと同じですね。
たとえばステンレスだけ一ヶ月ずっと加工し続けると(稼働率は50%として)50万円近くのランニングコストがかかることになります。

タレパンの場合のランニングコストは金型のメンテナンスを入れてもこれの1/10ぐらいです。

タレパンの場合は金型の段取り時間が多くかかってきますのでその分稼働率はレーザー加工機と比較して低くなりがちですが、金型の段取り替えが少ない場合にはタレパンがコスト面で威力を発揮してきます。